振り返り

本当のことを言えば5月はそれどころではなかった。どんなに楽しいことやうれしいことがあっても手放しで喜べず、頭の片隅には常に黒いモヤのようなものが在った。(特筆すべき程の楽しいこともうれしいこともそもそもなかったけれど)
そのモヤが気のせいであればいい、若しくは私の吐く息で飛ばしてしまえばいいと思っていた。結果的に、出来なかった。出来なかったけれど、そのモヤの正体を、在るのか無いのかわからない実態の無いものを、きちんと姿が見えるように具体化し、可視化することができた。

こんなに誰かを詰ったり怒鳴ったりしたことは今まで無かった。それこそ子どもの頃の他愛のない喧嘩が思いのほかヒートアップしてわぁわぁ叫んでいた頃、ぶりであった。正直、誰かを怒鳴るのも、詰るのも、ちょっとおもしろかった。尖った大声を出しながら、出来る限りの冷たい眼をしながら、感じたことのない快感めいたものを覚えた。私はサディストだったのだろうかと、どこか冷静になりながらぼんやり思ったりした。

もう二度と2013年の5月が来なければ良いと思いつつ、本当の本当は、ものすごく楽しくてものすごく興奮していて、ものすごくわくわくしていた。このわくわくした感じは、遠足に行く前日の夜の感覚にとてもよく似ていた。やはり私はサディストではなくマゾヒスト(比較的という話)であり、相手を傷つけるためなら自分傷つくことをまったく厭わないのであった。

親しい友人にこの話をすると100発100中で飲み会が盛り上がる。人生のネタにしようと心に誓った、30歳の夜。